国際言語学者の溝江達英です。
Can I have a beer ?
Can I get a beer ?
どちらも同じ意味のように思えますが、実は微妙に違います。
Bolingerという英語学の大家は、形が違えば意味が違うことを提唱しました。
ここで違うのはhaveとgetだけです。ただ、大きな意味の違いがあります。
実はhaveとgetのようなよく使われる動詞の意味の中核を知ると、文構造がよく見えてきます。
haveだと、当たり前感、getだとプロセス重視の無理やり感がコアミーニングとして内在するのです。
欲しいものをなんとかhaveしたより、やっとのことgetしたと言う方が日本語でも自然なようにgetにはなんらかの苦労のプロセスが漂っているのです。
Can I have a beer ? だと、お店には当然のごとく、ビールも置いてありますよね?という当たり前感が漂うのに対し、Can I get a beer ? だと、置いてあるかどうかは分かりませんけれど、なんとかビールもらえませんか?という意味になるのです。
この辺は
I had him buy me lunch. と I got him to buy me lunch. という文でも大きな差がでます。
I had him buy me lunch. だと、当然私には彼にランチをごちそうしてもらう権利があったというニュアンスがあるのに対し、I got him to buy me lunch. だと、説得して、どうにかして、彼に無理やりランチをおごってもらったという意味になり、苦労のプロセスが表現されます。
もらって当然の権利があれば、have, なんとかして入手するのであればgetなのです。
駅にはどうやって行けばいいのでしょうか?という英語も
How can I get to the station ? とgetを使うのも、なんとかしてたどり着く、そのプロセスが意識されるが為にgetがふさわしいのです。英語ではこういう場面で、How can I go to the station ?とは言わないのです。
最後に問題です。
自分以外の誰かに何かさせること(もしくはしてもらうこと)を文法用語では使役といいます。
I ( ) the beautician cut my hair short.
美容師に髪を切ってもらった。
カッコ内には何が入るでしょう。
美容室では美容師に髪を切ってもらうのが当然の権利として窺えますので、
had になります。
動詞の中核の意味(=コアミーニングと言います)をよく知り、ただ一語一対応で意味を脈絡なく機械的に覚えるのではなく文全体の構造が掴めるまでに発展させましょう。こういった小さなことを知るだけで英語を見る目が変わってくるはずです。
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