国際言語学者の溝江達英です。
私はお腹がとてもすいています。というのを英語にすると I am so hungry. と言いそうですが、ネイティブスピーカーの多くはI am really hungry. ということが多いです。というのも、I am so hungry というと、ネイティブスピーカーの多くはthat節を予想して、I am so hungry that I could eat a whole pizza. (腹ペコなのでピザ1枚丸ごとでもいけちゃいそう)という流れのように、何かを予測しちゃう傾向があるのです。
日本語でも同じように、私は日本人【では】ありません。というと、じゃあ、あなたは結局何人なの?という疑問が湧きます。 ではありません=じゃありません と教えられることが多いのですが、実は同じような言い方でそうではありません。
soを使う言い方だと、その後の続きが気になります。また、ではありませんも同様、潜在意識の中では、ただ否定することで終わらないで、続きが欲しいと思っているのです。 言語ごとにネイティブスピーカーが求めるナチュラルさみたいなものがあり、ナチュラルな使い方=ネイティブらしいと認定され、それがビックデータ化され共通集団言語意識が形成されていくのです。
例えば、受験英語でtell a lie を嘘をつくという表現で習いますが、実際はtell a lie を使う場面はほぼほぼないのかなと思います。使うならlieを動詞で使うことが圧倒的で、She lied to her mother. のように彼女は自分の母に嘘をついたという感じでしょうか。言葉の組み合わせの使用傾向という点で見ると、言いたいことは分かるけど、そう言わないんだよねってことが言葉の世界にはある好例です。
言葉の自然なつながりに注目すると、人それぞれに使う言葉にクセがあることが分かります。実は言語学はそのクセに注目し、計量言語学という分野で、ビックデータを用いて、作者不明の著作を言語の個人のクセをあぶり出すことによって、著者を判明させたり、怪文書から犯人を割り出したりもしているのです。声には声紋というのがあり、これまた人の声のクセが浮き彫りにされるのです。
必ず言葉にはクセが現れます。相手のクセを見破り、またそのクセをよくわかってあげると、普段は理解されないと思い込んでいる方を救ってあげられます。みなさんも知らず知らずに自分の言葉のクセで思いを伝えられずに損していることがあるのかもしれません。
自分の中にある言語のクセを一度あぶり出してみるといいでしょう。自分のクセをどうやって知るかは、人に聞いてみたら一番早いです。私の話し方のクセってどんな感じって尋ねてみるといいでしょう。
でも、やっぱり など反論系の言い方が多い人。商品、サービスばっかり勧めて来る人。自分のことばかり話している人。お金の話ばかりする人。自分の意見を言わない人。さまざまなクセがあります。自分と話している相手が何系の言葉が多いのかを分析してみたら、その人の性格がよく分かってきます。
自分の性格を変えたければ使っている言葉を変化させることで潜在意識を変えることができます。潜在意識をまず変えて、それから使っている言葉を変えてみるというアプローチではなく、【使う言葉を変えるから潜在意識が変わる】というアプローチで考えてみると、言葉へのこだわりが自分の世界拡張に繋がることが分かるはずです。よって、言葉を大事にする=自分を大事にする。ということに帰結するはずです。
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